●仏像はガンダーラ地方やマトゥーラで生まれた説が有力です
一般的に仏像は古代インドではじまったとされています。有力な説として、現在のパキスタンである、ガンダーラ地方が起源と考えられています。時代で言えば、一世紀後半から二世紀頃です。
本来、仏教は偶像崇拝を行っていませんでした。そのため仏教の開祖である仏陀の仏像が作られることはなかったのです。ただ、当時ガンダーラ地方で栄えていたのはイラン系のクシャーナ朝でした。そのクシャーナ朝がヘレニズム文化の影響を受けていたのです。
●ガンダーラの仏像はギリシアの文化を影響しています
ヘレニズムはギリシア風の文化などを意味しています。芸術に関して言えば、ギリシア彫刻が一般的に知られています。仏像はこのギリシア彫刻の影響を受け、はじまったと考えられています。
しかし4世紀頃になるとグプタ朝時代となりました。そのためヘレニズムの影響が薄まり、グプタ様式と呼ばれる芸術様式で、仏像が作られるようになったのです。また、日本に仏像が伝わったのは、諸説ありますが552年や538年という説があります。
●仏像の地域性について
仏像は地域でも大きく異なります。まず、ガンダーラで作られはじめたものは石像です。また、中国や朝鮮でも石の仏像が多く作られています。ガンダーラはギリシア彫刻の影響が見られますが、同時期インドの中央部マトゥーラでも仏像が作られていました。マトゥーラの仏像はガンダーラと異なり、どこかたくましさを感じさせるものです。
日本で作られた仏像は木製が用いられています。飛鳥時代はくすのき、平安時代では寄木造りが主流となっています。ただしただの木材ではなく、御神木が使われていました。
中国では漆や土でも多く作られています。他にも、洞窟を削り大仏を形成する石窟もあります。石窟では敦煌の仏像などは世界遺産にも選ばれました。朝鮮でも、ガンダーラ様式と中国様式が混ざったような仏像が作られています。他にも石窟が作られました。